やさしさって、どこからやってくるんだろうって、

ずっと考えてしまう夜があります。

たとえば、

思い出したくもないような記憶の隅っこに、

名前もない寂しさがぽつんと立っていることがある。

それは、誰かに否定されたままのわたしだったり、

怒られるのが怖くて、息をひそめていた小さなわたしだったり。

そういう影を抱えたまま、大人になって、

いま、わたしはここに立っていて。

それでも、

見知らぬ誰かの寂しさや、ひとりぼっちの感情に、

ひときれのあたたかさを渡したいと思うのは、

きっとその人が

かつての「わたし」かもしれないと、

どこかで思ってしまうから。

やさしさって、

本当は、弱さの裏返しで、

でもそれを恥ずかしがらずに差し出せる人こそが、

きっといちばん、強いのだと思う。

わたしはまだ、そこまでにはなれないけれど、

それでも今日も、やさしくあろうとする。

誰かの痛みに気づけるわたしでいたいから。

誰かの涙に、少しだけ手を伸ばせるわたしでいたいから。

うまく言葉にできないことでも、

黙ったままでも、そばにいられたらいいなと思ってます。

あなたの、ほんの少しの寂しさに、

わたしの指先が、静かに触れられますように。